【伊藤幸弘の子育てアドバイス】#105 【実話】息子と授業に出た親御さんが現場で見たのは・・・
おはようございます。
伊藤幸弘です。
本日も子育ての悩みから、
ひきこもりや非行など、子どもの問題行動に
悩む親御さんに役立つ情報をお伝えします。
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前回のおさらい
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前回まで、
動物を傷つける次郎という少年の
エピソードを紹介しました。
「カッターナイフの手裏剣を使い、
猫を傷つける次郎に対して
私が恐怖心を叩き込んだ」
といお話しから、
「場合によっては徹底的に叱ることが重要である」
ことをご理解いただけたかと思います。
そして本日は、
次郎とその母親にまつわるエピソードを
お伝えします。
次郎が
どのような環境で育ち、
そしてどのような経緯で登校になり、
しかも刃物を振り回すようになったのか、
その経緯をご理解いただけかと思います。
あなたのお子さんが置かれた状況と
比べながらご覧ください。
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次郎はなぜ不登校になったのか?
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山で徹底的に叱った後、
次郎と私は
うずくまっている猫を抱きかかえて
獣医のところに連れて行きました。
泥だらけの、
決して可愛いとは言えない状態のその猫を
次郎は助手席で
申し訳なさそうに抱いていました。
「傷の手当てをしたら洗ってやろう」
と言って次郎の顔を見ると
彼は生き生きとした目でうなずきました。
獣医に手当てをしてもらった後、
次郎と一緒に猫の体を
綺麗にしてやりました。
幸いにも猫の足の傷も
縫うほどではありませんでした。
今までのことが嘘のように
次郎は穏やかな顔で
その猫をずっと抱いていました。
私は次郎と一緒に彼の家に行き、
母親に次郎の行動の一部始終を話しました。
すると、母親は、
「うちの子に限って
そんなことをするはずがない!」
ときっぱりと言いきりました。
何を話しても、
母親は主張を変えようとはしないので
私は仕方なく、次郎の持っていた
バタフライナイフと
カッター手裏剣、
そしてノコギリを
彼女の足元に並べました。
すると突然、
彼女はうずくまって泣き始め、
「すみませんでした。
次郎はこんなことをしていたんですね。」
と詫びました。
その後、母親は
彼女の几帳面さがうかがえる
綺麗に整えられた部屋で
次郎と家庭のことを話してくれました。
「わが家は夫と次郎と私の3人家族です。
商社マンの夫は仕事で海外に行ったきりで
私と次郎の2人家族みたいなものです。」
と愚痴を言い始めました。
話すうちに、彼女自身は
昼間はボランティア活動、
夜はPTAの役員の仕事と、
かなり活動的な人だということが
分かってきました。
一方の次郎は、
小学校の頃から学校に行かないことが時々あり、
中学校3年生で本格的な不登校が始まった
ということも分かりました。
母親は不登校について
次郎にうるさく言っていたそうです。
次郎は口うるさく言う母親に対して
ナイフをちらつかせて脅すので、
次第に次郎の好き勝手な行動が
止められなくなってしまった、
ということでした。
私はその話を聞いて、次郎に
「お母さんの言うことが聞けないのか?」
と尋ねました。
すると彼は
「お母さんはうるさい、
いつもつきまとってくる。
自由になりたくて
山に入って1人で
サバイバルごっこをしていたんだ。」
と言います。
私がそんな次郎に対して
「よし分かった。
これから俺が
本当に楽しいことを教えてやろう。
だから学校に行け。
弱い者いじめ、
お母さんいじめをするな。」
と言うと、
次郎は無言でうなづき
猫を抱いたまま自分の部屋に行きました。
私は、次郎の母親に
「子どもに自分の考えを押し付けたり、
大人の感覚でものを言ったりしないで
とにかく子どもの話を
よく聞いてやってください。
子どもが頼ってきたら
善悪を判断した上で
できることは何でも叶えてやることです。
ただし“過保護”は結構ですが、
“過干渉”はいけない、
ということに気をつけてください。」
と細かいアドバイスをしました。
帰り際に次郎の部屋に行き
「また明日来るから」
と声をかけました。
その時、次郎は白い猫と
ベッドの上で楽しそうに
じゃれていました。
次郎の笑顔とその猫の姿が
なぜかとても印象的でした。
つづく
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編集後記
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「次郎がなぜ不登校になったのか」
その理由がお分かりになりましたか?
その原因はもちろん、
お母さんの“過干渉”です。
このお母さんの中には
次郎に対して
「こうあってほしい」
という理想像があったのでしょう。
自分の理想像を次郎に押し付けた、
その行為が次郎を変えたのです。
また、母親の中には
子育てを母親に任せきりにしている父親に対して
少なからず不満もあったことでしょう。
母親には心に余裕が無い
状態だったのかもしれません。
母親の心に余裕が無ければ
やはりそれは子どもに悪影響を及ぼします。
さて、
このメルマガ読者の皆様の中には、
次郎の母親と同じような状況に
置かれている親御さんも
いらっしゃるのではないでしょうか?
旦那さんが家にほとんどいなくて
子育ては母親に任せっきり
という家庭も少なくないでしょう。
そして、その状況に対して
少なからず不満を抱いている方も
いらっしゃるのではないでしょうか?
もしあなたが実際にそのような状態にあるのなら・・・
ぜひお子さんを見る目を
意識的に変えてみてください。
子どもの問題行動に悩む
ほとんどの親御さんは、
精神的に余裕が無く、
お子さんの悪い面ばかりに
目が行ってしまう傾向にあります。
ですから、お子さんの
良い面に目を向ける努力をしてください。
本編で紹介した次郎も
動物に向けてナイフを振り回すような
危険な行動を取っていましたが、
本来は猫を大事に可愛がるような
優しい子どもでしたよね。
あなたのお子さんに対しても
「本当は優しい気持ちを持った
素晴らしい子どもだ」
という意識で接してください。
少し意識を変えるだけでも
必ずあなたの言動は変わりますし、
それに伴ってお子さんの態度も変わります。
あなた自身の意識を変える、
このことを今日から意識してみてください。
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読者の方から頂いた喜びの声
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それでは本日も
読者の方から頂いた
ご報告のメッセージを
紹介させていただきます。
MKさんという方からのご報告です。
MKさんは
息子さんと一緒に学校に行き、
一緒に授業を受け、
今まさに必死に問題を
解決しようと努力されています。
そしてその中で気付かれたことは・・・
あなたの子育てにとっても
非常に参考になる内容だと思います。
ぜひ真剣にご覧ください。
「お子さんのために
必死に頑張っている親御さんがいる」
ということを知って、
あなたの勇気に変えてください。
*******************ここから********************
伊藤先生、こんにちは。
小学3年生の息子が学校で暴れ出したのは9月。
大声を出し、机を蹴り、教科書を破り、
『帰る!』
と学校を飛び出そうとして先生に抑えられる。
そして、学校から電話がきて
私が迎えに行くという毎日でした。
でも、
『学校は行きたい』
と言い、休む事はありません。
これがはじめは不思議でした。
暴れ始めて1ヶ月ほどしてから、
私は学校に言いました。
『私も学校に通っていいですか?』
その日から、
私も息子と一緒に授業を受けています。
見えてきたのは、
【担任の性格が私と似ている事】。
そこで、息子がどういう時に怒りを
出し始めるのかをメモしていきました。
★授業のペースが自分のペースより早くなった時
実際の息子の言葉は、
『先生待って!待ってってば』
→暴れだす
★質問をスルーされた時
実際の言葉は
『先生!わからない!先生ってば、
先生!3回呼んだのに無視された』
→暴れだす
★自分の意見が通らなかった時
実際の言葉は
『先生なんで!昨日は○○だったよ。
ほらまた決めつけられた』
→暴れだす
学校に一緒に通い始めて、
息子の言葉を聞いていると
『これは学校の問題じゃなく、家族の問題だ』
と気づきました。
実は息子には兄がいます。
重度の自閉症です。
息子が産まれた時も、
お兄ちゃんにかなり手がかかり、
放ったらかしでした。
お兄ちゃんは何ができても褒められ、
息子はできて当たり前。
家族のペースはお兄ちゃん中心。
『待って!』
と言っても、
「お兄ちゃんが○○だから、
早くしてよ」
と言われる。
息子の立場で考えると
理不尽な事ばかりです。
だからお兄ちゃんの事も
嫌いだと言っていました。
息子は自分を見てほしいのに、
私はずっとお兄ちゃんを見ていました。
今も私はまだ学校に一緒に通っています。
担任とも密に連絡をとり、
学校で問題行動が出たら、
別室を借りて私と過ごします。
話をゆっくり聞き、
担任に伝えます
(息子本人に話していいか許可をもらってから)
これを繰り返していたら、
担任も授業をわかりやすく工夫してくれたり、
声掛けも「早く!」から
「できた?」になってきました。
まだまだ出口は見えませんが、
これからも息子の
【心の声を聴き】を
頑張って行きたいと思います。
*******************ここまで********************
MKさん、
メッセージを拝見し、
本当に息子さんと
真剣に向き合っていらっしゃることが
ひしひしと伝わってきました。
息子さんと一緒に学校に行き、
実際に授業を受けるというのは
なかなかできることではありません。
素晴らしい実行力です。
そして
>『これは学校の問題じゃなく、家族の問題だ』
と書かれていますが、
こちらの分析力も素晴らしいです。
何かトラブルがあった時には、
ついついお子さんを責めたり、
学校のせいにしたくなります。
冷静に分析され、そして
ご家庭の問題だと謙虚に受け止める
ことは簡単なことではありません。
自閉症のお兄ちゃんへの特別な配慮と、
学校で暴れる弟さんへの対応、
本当に大変な思いをされてきたことでしょう。
ですが、MKさんの行動力と愛情で
息子さんもきっと回復してくると思います。
改めまして、
貴重な体験談をシェアしていただきまして
本当にありがとうございました。
MKさんと息子さんの幸せを
心よりお祈り申し上げます。
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いかがでしたか?
MKさんの行動力に
驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「息子と一緒に授業を受けるなんて
私にはできない・・・」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、ここまでできる方は
そう多くはないと思いますが、
このメルマガを読んでいる方の中には
・「母子分離不安」などで一緒に授業を受けている
・毎朝、校門(教室)までお子さんを送っている
という方もいらっしゃることでしょう。
そういう方には、ぜひ
MKさんの対応をお手本にして頂きたいと思います。
「一緒に授業を受けるのは、
子どもが学校に行かないから仕方なく」
「学校まで送っていくのは、
そうしないと子どもが学校に行かないから」
そのような、
「子どもを監視する為に仕方なく」
という気持ちではなく、
・お子さんを不安にさせない為
・お子さんのストレスを和らげる為
・お子さんを守る為
・お子さんが楽しく学校に行く為
そんな理由で、
一緒に学校に行っていただきたいのです。
母子登校をされている方は、
周りの目もありますし
心身ともに本当に大変だと思います。
ですが、どうせ学校に送っていくのであれば、
ぜひ、楽しく笑いながら送ってあげてください。
学校に行くまでの間、
学校に行くというストレスを忘れられる位
楽しく過ごしてください。
一緒に授業を受けるのであれば、
学校にいる間、お子さんをいろんな
ストレスから守ってあげてください。
そして、
お子さんと一緒に学校に行っているお母さんなら
同じ話題を共有できますから、
帰宅後もぜひ楽しく会話したり、
遊んだりしてあげて下さい。
そうする事で、お子さんのストレスも
軽減し、回復も早くなると思います。
頑張ってください。
1日も早く
あなたが問題を解決されることを
心より願っています。
それでは
本日も最後までご覧下さいまして
ありがとうございました。
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