【伊藤幸弘の子育てアドバイス】#64 なぜ高学歴者の自殺率は高いのか?
おはようございます。
伊藤幸弘です。
本日も子育ての悩みから、
ひきこもりや非行など、子どもの問題行動に
悩む親御さんに役立つ情報をお伝えします。
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前回のおさらい
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前回は、大人でも
「誰かに保護されている」
あるいは
「相互に保護し合っている」
という実感を持てなければ
くつろぐことができない
という話をさせていただきました。
そしてそのくつろぎが
「生きる力」につながる
ということでした。
例えば、
1人でいくら癒しの音楽をかけてくつろいでみても、
より大きなストレスにならないだけであって
心から十分に癒されている
ということにはなっていないのです。
実はあなたご自身にも
保護は必要なんです。
お子さんを保護してあげることは
もちろん大切ですが、
時にはあなた自身を
いたわってあげることも考えて下さい。
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本日のテーマ:
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それでは本日は
「勉強は本当に重要か?」
というテーマで
僕と佐々木先生が行った
対談をご紹介します。
おそらくあなたも強い関心を
持たれているテーマだと思いますので、
ぜひご覧ください。
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■伊藤;
子どもの生活と勉強は
やはり切り離すことが
できないものだと思うんです。
ただ一方で、
勉強ができればそれでいいのか?
勉強っていうのはそれほど重要なのか?
という疑問もあります。
先生はそこをどうお考えですか?
●佐々木先生;
僕たちはなんとなく
「勉強ができる」
ということが、
生きていくための通行手形だと
思っているんですよね。
「勉強できると受け入られやすいよ。
認められやすいよ。
ある種の保護を受けやすいよ。」
と、
こういう風に思っています。
■伊藤;
確かに、それはそうですよね。
●佐々木先生;
勉強ができた方ができない子より
得られるものは多いですよね?
ですから親は、それを期待して、
我が子が少しでも社会から、学校から、
職場から受け入れられて、
幸福に楽に生きていけるように
してやりたいと思うんですよね。
それに卒業する学校というのは
母校になるわけですから
少しでも良い学校に入れば
それだけ自分の母校に誇りを
持つことができますしね。
社会に出た時に
胸を張って生きていけると
考えるわけです。
けれども
「勉強ができたから受け入れられる」
という程度の受け入れられ方では、
人間の本当の生きる力にならない
と僕は思います。
それよりも
その学校(社会)で良い友人ができた!
心から尊敬できる先生に出会えた!
という方が「生きる力」になると思うんです。
例えば入学偏差値の高い大学の学生は
群を抜いて勉強ができます。
ところが、
あまり公にはなっていませんが、
こうした入学偏差値の高い大学の学生のほうが
圧倒的に自殺や自殺未遂率が高いんです。
これはね、
勉強ができるということが
必ずしも
「生きる自信」や「希望」
には繋がらない
ということを示しています。
■伊藤;
ええ。
●佐々木先生;
人間にとって、
仲間と交わり、人から承認を受け、
人を承認する力、人を好きになる力、
自分を好きになる力が持てるようになる方が
はるかに生きていく力になるんです。
何かに特別に秀でた人間になれば
自分で自分のことが好きになれます。
勉強ができれば、自信が持てます。
という発想は、本当に大きな間違だ
ということに気がつかなくてはなりません。
自分も人も好きになれる子どもというのは、
人から好きになってもらった子どもなんです。
こういう経験があってこそ、
子どもの中に自尊感情や自信が生まれます。
勉強させているだけでは
こういう感情は生まれてこないんですよ。
■伊藤;
僕もそう思います。
●佐々木先生;
そして、その一方で
言い方が悪いかもしれませんが、
入学偏差値が低い大学もあります。
こういう大学の学生は
滅多に自殺をしないんですね。
■伊藤;
それははぜでしょうか?
●佐々木先生;
受け入れられているからでしょうね。
「それでもしょうがない」と。
「しょうがない」
という前提がついてはしまうものの
基本的に
「まあそれでいいよ」
と受け入れられているわけです。
それに仲間同士も互いに
受け入れやすいわけです。
つづく
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編集後記
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『勉強はできた方が良い』
という考え方は多くのお母さんに
共通している価値観だと思います。
確かに学歴が高い方が
得をする場面は多いかもしれません。
就職の時に
大学名で選別する企業も実際に存在します。
人気企業になれば、
あまり名前が知られていない大学の学生は
面接すら受けられない
という実態もあるようです。
『学歴信仰』
が今も残っていることは事実です。
ただ、
確実に時代は移りつつあります。
すでに終身雇用制度は崩壊しており、
そもそも学生を選ぶ側の企業に
社員を養うだけの力が
無くなってきている
という事情があります。
また子どもの数が減少し、
定員割れの大学も存在する中で
「大学」自体の価値が
今後ますます低下していくことは
間違いありません。
学歴だけでその人間を
判断する時代もあったかもしれませんが、
もはやそれは過去の遺物となりつつあります。
そんな時代が変化する真っ只中に
それでもあなたは
お子さんに学歴を求めますか?
勉強させることは否定しません。
お子さんが自発的に
やりたいというのであれば
勉強できる環境を与えてあげるべきです。
しかし、その前にしっかり
保護が存在して然るべきです。
もしかしたら今あなたは
お子さんの問題行動に手を焼き
勉強のことどころではないかもしれませんが、
それでもあなたの気持ちの中に
「勉強をするべきだ」
という気持ちがあれば
それはやっぱり子どもに伝わってしまいます。
『勉強をしなさい!」
と言って、無理やり勉強をさせる
そんな過干渉はやめてください。
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読者の方から頂いた子育て体験談
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それでは本日も
読者の方から頂いた子育ての
体験談を紹介させていただきます。
本日は、息子さんの不登校に悩まれていた
KJさんからのメッセージです。
息子さんが不登校になってからの様子を
とても事細かに紹介いただいております。
ぜひご覧いただき、
あなたの子育ての参考にして下さい。
*******************ここから********************
昨年 6月から不登校に
なっていました中3男子の母親です。
昨年7月末位に
伊藤先生のDVDを購入しました。
当初は私の気持ちがかなり落ち込んでいましたが 、
毎日、家庭を居心地の良い場所にすることを心がけました。
また、過去ずっと過干渉だった自分を反省し、
息子が、朝、昼、晩、いつ
自分の部屋から階下に降りて来ても
明るく「おはよう!」と声かけするようにしました。
その間、息子は昼夜逆転し、ゲーム漬けの毎日でした。
友人の寝泊まりが長く続いた時もありましたが、
その子の家庭の悩みや事情もあり
食事を提供したり話を聞いてあげました。
内心は
「こんなに泊まらないで!」
と思ってましたが、
子どもの友達だからと
容認せざるを得ませんでした。
その子も、中卒ですが、
その後は昼間の仕事につき
今は立派に働く姿を見られるようになり、
うちに泊まることもなくなりました。
伊藤先生が言われた様に友達がいたおかげで
辛い時にお互いが支え合えた時期だったんだ、
と今は素直に思えます。
その頃は、夜コンビニに友人と
外出するのみでしたが、
昨年末位から昼間でもコンビニに行ったり
自転車で遠出したり、
最近は友達数人でサッカー場に出かけたりと
体力を使う事もできる様になってきました。
他にも原因はあったのかもしれませんが、
息子とによると、学校生活の拘束が嫌、
受験勉強が嫌だった様で
登校時に腹痛がちになり不登校に至りました。
ずっと子どもの気持ちに寄り添っていたところ
今年になり渋々ですが期限ギリギリで
通信制の高校に受験を決めてくれ、
「 面接、作文」という難関も
突破してくれました。
家以外の公的な学校という
環境に行ってくれた、挑戦してくれたのが
本当に嬉しかったです。
自宅の勉強だけでなく、
スクーリングがあるとわかってからは、
私に「聞いてない、行かない」と
否定的なメールを送ってきた事もありましたが、
そんな時も今までの母としての修行(過保護)が
身について来てるので、
「いついつまでに 自分で考えて決めといて」
と 返信しました。
以前の様に、すぐにたたみかける様に、
「どうするの?」
「何考えてるの!」
と追い詰めるのは
かえって良くないと学習していたからです。
とにかく時間を与えて自分で考えさせる。
その間は、口を出さず我慢して待つ。
という姿勢にしました。
お陰様で無事、合格通知が届きました。
あとは、ゆっくり高校生活に向けて
自発的な気持ちになっていく様にと思ってます。
以前はどうしてこんな子に、
と自分を責めたり、
子どもの性格がおかしいのでは
と思ったりしましたが、
丁寧に接するうちに
よその子も我が子も
皆輝く命なんだと気づくまでになり
愛情が泉の様に湧いてくる
気持ちになりました。
子育ては自分修行なんですね。
劣る、劣らないという基準をやめて
個性という基準でこれからも
見ていきたいと思います。
毎日のブログに励まされました。
ありがとうございました。
*******************ここまで********************
KJさん、
貴重なエピソードを送っていただき
本当にありがとうございます!
>毎日、家庭を居心地の良い場所にすることを心がけました。
>また、過去ずっと過干渉だった自分を反省し、
>息子が、朝、昼、晩、いつ
>自分の部屋から階下に降りて来ても
>明るく「おはよう!」と声かけするようにしました。
と書いて下さいましたが、
KJさんのこのような
1つ1つの行動の積み重ねが
息子さんを好転させたのだと思います。
>「どうするの?」「 何考えてるの!」と
>追い詰めるのはかえって良くないと学習していたからです
こちらの対応も素晴らしいです。
本人に必要な情報は伝える。
でも、判断するのはお子さん自身。
無理やりやらせたり
答えを急かすのはよくありません。
「言うべき事は言って後は待つ」
その姿勢が大事です。
このことをしっかり理解されて行動されています。
KJさんはやはり素晴らしいお母さんです。
>劣る、劣らないという基準をやめて
という事を書かれていましたが、
もしかしたらKJさんは
学歴というものを
かなり重視されていたのかもしれませんね。
そして
>受験勉強が嫌だった様で
とあったように、
勉強が不登校の原因の1つに
なっていたかもしれません。
本日の本編で書かせていただいたように
学歴に対して過剰な価値を
置いてはいけません。
これからも、
どうか今の子育てを続けて下さい。
改めまして
本当に貴重なご報告を
ありがとうございました。
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言葉の影響力は
非常に大きいものです。
あなたが普段使っている
何気ない一言が
お子さんの人生を
変えることもあります。
KJさんはそのことを
しっかり理解されて
「どうするの?」
「 何考えてるの!」
と追い詰めるのはかえって良くない
ということを意識されていました。
ただ、普段考えていることが
言葉になって現れますので、
言葉使いを気をつけるというよりは、
あなたの中の根本的な意識を変える事が大切です。
本日はここまでです。
次回も僕と佐々木先生の対談を
「子どもにとっての生きる力とは?」
というテーマでお届けします。
あなたは子どもがぼーっとしてたら
どう思いますか?
「シャキっとしなさい」
と怒ったりしたことはありませんか?
でもそれって・・・
というお話をさせていただきます。
それでは、
本日も最後までご覧下さいまして
ありがとうございました。
PS:
今回KJさんのメッセージをご覧になって
あなたは何を感じましたか?
「何をすれば状況が改善するのか?」
ということをリアルに実感して
いただけたのではないでしょうか?
今現在子育てをされている
お母さんのリアルな体験談は
参考にしていただける部分も
非常に多いと思います。
もしあなた自身も
何かうまくいった体験談をお持ちでしたら
KJさんのようにメッセージを
お寄せ頂けましたら幸いです。
間接的ではありますが
お母さん同士が保護し合う、
そんな輪をあなたと一緒に
広げていきたいと思っています。
ご連絡はこのメールへの返信で構いません。
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