【伊藤幸弘の子育てアドバイス】#11 親子の壁を壊す、あの一言

2015-03-19

おはようございます。
伊藤 幸弘です。

今日も子育ての悩みから、
ひきこもりや非行など、子供の問題行動に
悩んでいる親御さんに役立つ情報を
お伝えする「伊藤幸弘の子育てアドバイス」

皆さんのご家庭の問題解決のお役に立てればと思います。

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前回のおさらい
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前回は

「スキンシップ」

についてお伝えしました。

スキンシップをとり真剣に保護しながら
干渉しながら接してあげれば
どんなに荒れた子も必ず立ち直っていけます。

ただ、思春期の子にスキンシップをとることは
簡単なことではないと思います。

荒れた子どもを日常の場面で
ただ抱きしめようとしても
多くの場合、強く拒絶されてしまいます。

スキンシップをとる際は、タイミングが大切です。

どんなタイミングが良いのか?

前回はその一例として、私の実体験を
お伝えしました。

大人と子ども、お互いの心が通じ合って
感極まって涙を流しているような状況で
スッと抱きしめる、
というお話をさせていただきました。

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今日のテーマ:親子の壁を壊す、あの一言
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スキンシップが大切だということは
ご理解頂けたと思いますが

「やっぱりちょっと難しいな」

と思われる方もいるかもしれません。

スキンシップをとる以前に、
会話でのコミュニケーションが
うまくいかない、
と悩んでいる方も多いようです。

では、会話でのコミュニケーションを
スムーズに進めるためには何が必要でしょうか?

この質問にはたくさんの答えがあると思いますが、
私はある1つの言葉の不足が
原因の1つではないかと考えています。

親が子どもに言うべきなのに言えていない
ある言葉、これを言えるか言えないか、
これだけでおそらく親子関係は一気に変わるはずです。

さて、それはどんな言葉でしょうか?

答えは対談の最後で。

———————————————-

■伊藤:

今の子って、外面的には大人感覚で悪さをしているのに、
内面的には幼児に返っているような感じもするんですね。

だから、外面的な部分と内面的な部分の
両方から保護をしてあげないといけないとも思う。

●佐々木:

僕も思います。

■伊藤:

外面的な部分の保護というのは前回話したような形だと思います。
じゃあ、内面的な部分の保護はと言うと、
例えば親が真剣に怒りますよね。

子どもが親から鬼みたいな顔で
怒られて部屋に戻った時、あたたかい味噌汁が
置いてあったりする。

そんな時、子どもは

「ああ、オレはこの家に帰ってきていいんだ」

ってホッとできると思うんです。

そうした安心感を与えてやるのが
内面的な部分を保護するってことじゃないかな。

●佐々木:

まったくその通りです。
それを僕のような立場でやろうとすると、
クリニックに来た子の話を
徹底的に聞いてあげるというところから始まるんですね。

例えば非行の少女がいるでしょ。

その子が何をやっているのか
十分わかっているけれど
それについては一言も何も言わない。

僕と会っている時はとにかくその子が好きな話を
目一杯話してもらうわけ。

話の内容なんて僕にはチンプンカンプンですよ。
ファッションや音楽の話ですからね。

けれど、そうした話をおもしろがりながら、
一所懸命聞いてあげるんです。

そうすると子どものほうも、
そういう話にはうとい僕を相手に
一所懸命説明してくれる。
それをクリニックに来るたびに繰り返すんです。

するとね、
ある時期にくるとためらいながらも思い切ったような感じで

「先生、私が何をやっているか 知ってますか?」

と必ず聞いてくるんです。

「知ってるよ。それを心配しているから
こうして毎回来てもらって話をしているんだよ」

と言うと、

子どもは一瞬びっくりしますよ。

「ああ、やっぱり先生は知ってたんだ」

みたいなことを言います。

そのあとに、必ず思いつめたようにして

「先生はどう思いますか?」

って聞いてくる。

その時になって初めて怒ってやるんです。
それも本気で。

これが大切なんですね。
そこで当たり障りのないようなこと、
いい加減なことを言ってしまったら
子どもは失望するんですよ。

■伊藤:

そうなんですよね。

●佐々木:

本気で怒ってあげなくちゃ。
子どもにしてみれば

「そのへんの人たちに叱られたり
非難されたくない。
あんたにそんなことを言われる筋合いはない」

と思っているわけでしょう。

でも

「この人になら叱られてもいい」

と思ったから、

「先生どう思う?」

と聞いてきた。
だからこそ本気で叱ってやらなきゃいけないんです。

子どもたちは必ず泣きますよ。
そして、みんなそこから立ち直っていく。

結局ね、そういう人が今までいなかった
ということなんですね。

すぐに

「何をやってるんだ」

というようなことを言う人はいっぱいいたけれど。

■伊藤:

荒れている子ほど、
よく

「おれは真剣に親から怒られたことがない」

って言うもんね。

●佐々木:

そうなんです。
本気で怒られたことがない
というのは
愛情をかけてもらったことがない
ってことなんですね。

■伊藤:

やっぱり真剣に保護をしてから、
真剣に干渉していくことで、
どんなに荒れた子でも
なおるということなんだよね。

親ではない人たちの場合は、
どういう対応をしたらいいんですかね。

●佐々木:

僕は基本的には

「この子たちはなんて不憫(ふびん)だ」

と思ってあげることが
まずは大切だと思いますよ。

それとね。
大原則は自尊心を傷つけないように注意しよう、
導いてやろう、という発想をもつこと。

学校の教育者って、すぐに自尊心を傷つけるんですよ。

だから、何を注意しても叱ってもいいけれど、
自尊心を傷つけないように、ということを考えてほしい。

「この子の自尊心を傷つけたらいけないんだ」

と思いながら、どう叱ったらいいか、
どう注意してあげたらいいか、
を教師も、もちろん親も考えなくちゃいけない。

■伊藤:

たとえばコンビニの前なんかで
たむろして、タバコを吸っているような子たちを
注意するとしたら?

●佐々木:

僕だったら、通り道のジャマになるところに
ドーンと座っていたら

「ちょっと通してください」

ということをちゃんと言いますよ。

それでね、どいてくれたら
「ありがとう」と言う。

「ちょっと通してください」

と言えば

「ああ、自分たちはジャマしてたんだ」

って思うじゃない。

それで、どいてくれたわけです。
しぶしぶでも、ふてくされて嫌な顔をしながらでも
道を開けてくれたわけですから、
きちんと「ありがとう」とお礼を言います。

こういうときに

「おまえら、こんなところで
なんて傍若無人で失礼な座り方をしてるんだ!」

なんて発想はもっちゃいけないんです。

■伊藤:

タバコを吸っていることについて注意は?

●佐々木:

その瞬間だけ会った子たちであれば僕はしません。

自分たちがやっていることが
よくないことだとわかっていれば
いいと思っているんです。

注意しなくても、悪いということは
知ってるんですよ。

「わかってやってるんだ」

という気持ちでしょ?

「自分のことを思いやってくれている人じゃなきゃ
何も言われたくない」

と思っているわけですから。

注意は彼らの圏内に入った時にしてあげればいい。

毎日顔を合わせているような子なら、

「この人は自分を大切に思ってくれるんだ」

というメッセージが伝わってからですよ。

■伊藤:

僕は

「ちょっとお兄ちゃん、どいて」

って言ってから

「こんなところでタバコを吸うと散らかっちゃうから
ちゃんと後始末していけよ」

なんて言う。

向こうもね
「ハーイ」なんて返事してます(笑)

●佐々木:

それは伊藤さんがね、
自分たちの仲間のような雰囲気をもっているからですよ(笑)

「わかってくれる人だ」と直感的に感じるからだね。

だから伊藤さんは、そういう方法でいいんです。
僕らは彼らにとっては、異質の人間に見えますよ。
そうでしょ?

■伊藤:

はい(笑)
まあそれはさておき、やはり要求に応えてくれたのだから
きちんと感謝することが必要と。

●佐々木:

そうです。
必ず「ありがとう」って言いますよ、僕は。どんなにささやかなことでもね。

そう言えば必ず響くはずなんです。
ものすごく大きな要求に応えてきたのに
親は「ありがとう」って言っていないんだよ。
それまでその子たちに。教師もね。

■伊藤:

そうですねえ。
「ありがとう」っていう言葉を伝えることが大事だと
僕も本当に思うね。

——————————————-

本日の対談はここまでです。

「ありがとう」

あなたは普段、この言葉を子どもに言っていますか?

言っている方は、意外と少ないように思います。
同じことをしてもらっても例えば友達には

「ありがとう」

と丁寧に言うけれど、子どもだから、という理由で
「ありがとう」と言わないこと、無いでしょうか?

心のどこかで
子どもを立場が下の人間だと考えて

「言う必要が無い」

と考えている節はありませんか?

子どもだって大人と同じように、自尊心をもっています。

でも、ここで私が本当に言いたいことは
「ありがとう」と言いましょう、
ということではありません。

「ありがとう」と言わないことが、
問題の本質ではありません。

子どもに対して感謝の気持ちを持っていない、
ということが問題の本質です。

感謝の気持ちさえあれば意識しなくても自然に、
「ありがとう」という言葉が出てくるはずです。

相手が子どもだろうと、
何かしてもらったら感謝の気持ちをもつ。
そしてそれを言葉にして「ありがとう」と伝える。
当たり前のことですね。

その当たり前があるだけで親子関係はずいぶん変わるはずです。

これまで親子の間に高くそびえ立っていた分厚い壁が
ガラガラと音をたてて崩壊していく瞬間を
目の当たりにすることもあるでしょう。

ぜひ

「感謝する」

という当たり前のことを当たり前にこなしてみてください。

さて、佐々木先生との対談は、本日で一旦終了です。

これまでの対談を通じて
子どもの問題行動がなぜ起こるのか?

そして、それに対してどう対処すべきか?
ということに対して
きっと理解を深めていただけたことと信じています。

次回は
佐々木先生から

「問題行動を起こす子どもはどう育てられたのか?」

というテーマでお話をしていただきます。
これまでの対談とはまた少し違った角度から
お伝えさせていただきます。

他人を傷つけたり
時には自分自身をも傷つけてしまうような子どもを
育ててしまう子育てとは、一体どんな子育てなのか?

香川大学の岩月謙司さんという心理学の教授が行った
哺乳瓶を使ったとても興味深い治療の話を交えながらお伝えします。

それでは本日も最後まで
お付き合い頂きましてありがとうございます。

1日も早く、親子関係が良好なものに改善することを
心から願っています。



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山ちゃん
山ちゃん
2020年1月29日 1:52 PM

子どもに感謝の気持ちをもつ。ありがとうを伝える、当たり前の事なのに出来ていなかったと気が付きました。当たり前のことを当たり前に言えるように、意識していきたいと思います。


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