【伊藤幸弘の子育てアドバイス】#27 子どもがイジメにあった時の対処法

2015-07-09

おはようございます。
伊藤 幸弘です。

本日も子育ての悩みから、
ひきこもりや非行など、子供の問題行動に
悩む親御さんに役立つ情報をお伝えします。

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前回のおさらい
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前回は、子どものしつけについてお話しました。

しつけに関してまず大切なことは

「人を信じる力」

をしっかり育てておいてあげるということです。

そのために、”過保護”に徹し、
子どもの

「こうしてほしい。ああしてほしい。」

をとことん聞いてあげるようにすることが必要です。

そして、もう1つ大切なことがあります。
それは、子どもの自尊心を尊重することです。
もっと具体的に言うと、
強制をしないこと、
そして他の子と比較しないことです。

いかがでしょう、
あなたはこれらのことができているでしょうか?

もしできていないとしたら、
あなたには今、余裕がないのかもしれません。

余裕がなければ、
子どもの要望に答えたりすることはできません。
また、しつけの際に子どもが何かできるようになるまで
我慢強く待つようなことも、なかなかできません。

ですから、もしあなたに余裕が無いのであれば、
どうしたら余裕が生まれるのか、考えてみることをお勧めします。

まずはあなた自身が余裕をもち
幸せな気持ちで子育てをされることが、何よりも大切です。

さて、本日のテーマはいじめです。

不登校と深く関係のあるいじめです。
ある高校で起こった
耳をふさぎたくなるような悲劇のエピソードも
あえて紹介させていただきます。

いじめが絶対に許されざるものだということを
改めて実感していただけると思いますが、
読んでいただいた後、
そんな残酷ないじめに対して親は何ができるのか、
そんなことを考えていただければ幸いです。

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悲劇は未然に防ぐことができなかったのか。
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僕は講演のため、
これまで全国のいろいろな学校を訪れてきました。
その中で改めて感じたのはどこに行っても
不登校の子がいるということです。

都会でも地方でも不登校の子の数は年々増えています。

今や全国の不登校の小・中学生の数は
14万人と言われています。

不登校と一口に言ってもその原因や形は様々です。

それでも大きく分けるとしたら

「引きこもり型不登校」

「非行型不登校」

があるのではないかと思います。

また、引きこもり型不登校にも
完全に人との交流を断って
孤立するタイプと、
学校には行けないけれど
家族や特定の友達とのみ
交流をもちその他の人とは交流しないタイプとが
あるようです。

非行型不登校にも、完全に非行に走って
夜遊びを繰り返したり、
犯罪を犯したりするタイプと、
学校がある昼間は寝ていて、
友達が学校から帰ってくると
外に遊びに行き、夕飯にはちゃんと戻ってくるという
明るい不登校タイプがあるように思います。

不登校の原因もいろいろです。
何が原因か自分でも分からずに
引きこもっている子もいれば
明らかにいじめが原因で学校に行けない子も多くいます。

ただし、不登校の半数以上が
「いじめが原因」とも言われますので
不登校、ひきこもりといじめは
切っても切れない関係があることは確かです。

不登校、ひきこもりを考えるとき、
やはりいじめ抜きには語れません。

そのいじめですが、これだけ社会問題となっていながら
その数は減るどころか増えているというのが現状です。

僕はいじめだけは絶対に許してはいけないと
思っています。
よく

「いじめられる子にも原因がある」

という言われ方がされますが、
いじめに関しては100%
「いじめる側」が悪いと思っています。

以前、ある女の子の話を聞きました。
実に痛ましくて実に腹立たしい話でした。

その女の子は祥子(仮名)といいます。
16歳の高校2年生です。

祥子は、上半身の服を脱ぎ、半裸の姿で、
自分の通っていた小学校の屋上から身を投げました。

飛び降り自殺でした。
その素肌にはカッターナイフで刻んだのか
血の滲んだイニシャルが彫られていました。

遺された遺書に書かれていたのは
数年に渡っていじめを受け続けていたという事実。

祥子の素肌に刻まれていたのは
他ならぬいじめていた子たちの頭文字でした。

祥子の受けていたいじめはじつに陰湿でした。
トイレに入っていると上から土をかけたれたり
太ももに火のついたタバコを押し付けられたり
クラス中から無視をされたり。

きっと耐え切れないほどの屈辱だったろうと思います。

しかし祥子はいじめを受けながらも
毎日学校に通い続けました。
優しい両親と可愛い妹に
心配や迷惑をかけたくなかったのでしょう。

毎日学校に行くことで、
家族にいじめを受けていることを
感じさせないようにしていたのです。

本当にいじらしいと思います。
祥子へのいじめに頭に血が上るほどの
怒りがこみ上げてきます。

なぜいじめられたのかは分かりません。

でも、彼女は自分一人でなんとか
解決したかったのだと思います。

小学校を最期の舞台に選んだのは、
そこが自分にとって
いちばん楽しい時間を過ごせた場所
だったからではないでしょうか。

友達も先生も自分に優しくしてくれた、
自分が最も輝いていた時、
その思い出の残る場所が
小学校だったのだと思います。

カッターナイフで刻まれたイニシャルは、
祥子なりの復讐でした。

しかし、血に染まったイニシャルは
文字になっておらず
遺書にもいじめた子たちの名前は書かれていませんでした。

級友も堅く口をとざしたままです。
祥子の命がけの復讐は、
残念ながら、結局ははっきりといじめを
告発できないまま終わってしまいました。

それから数年経った今、
祥子の通っていた高校では、
何事もなかったかのように
次々と生徒たちが卒業しています。

自殺の舞台となった小学校でも、
彼女のことを知っている人は
ほとんどいなくなりました。

いじめの張本人たちは
今ものほほんと人生を送っています。

祥子が自殺した後に残ったものは
ただひとつ、遺された家族の悲しみだけです。

こんなことが許されるのか。

あっていいのでしょうか。

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編集後記
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今も増え続ける不登校、
その背景にはいじめの増加が同時に見受けられます。

祥子の事件は
書くのがためらわれるくらい残酷な事件でした。

祥子の気持ちを考えると
今でも残念な気持ちで胸がいっぱいになります。

本編にも書いたように、いじめの問題に関して、

「いじめられる側にも非があるのではないか」

と思われる方が一定数いらっしゃいます。

でも僕は、この考え方を真っ向から否定します。
どんな場合でも、どんな事情があっても
間違いなく、いじめる側に非があります。

ましてや祥子の事件の場合、
1人の尊い命が失われているのです。
彼女に非があるなんてことは万に一つもありません。

「いじめられる側にも非がある」

という主張は、いじめを助長しかねない危険な主張です。

また、いじめを正当化することにもなりかねません。

なので僕は

「被害者にも非がある」

などという考え方が世の中に根付かない事を願いながら
情報発信を続けています。

また、いじめられて帰ってきた子どもに

「あなたが弱いからいけないのよ」

なんて言葉をかける親御さんがいらっしゃいますが、
それも完全に間違っています。

親にすら味方になってもらえない子どもの心は
果てしなく傷つきます。

確かにいじめる側の子どもにも
家庭で親から愛情を十分に受け取れていなかったり、
なんらかの事情が存在する場合もあるのかもしれません。

ただ、だからといって

「いじめても仕方ないよね」

とは決してなりません。
それとこれとは、話が全く別です。

もしあなたの子どもがいじめにあったのなら、
母親であるあなたが絶対的な味方になってあげて下さい。

逆に、もしあなたの子どもがいじめる側であるのなら、
前回のしつけに関するメルマガで書いたように、
まずは”過保護”に徹して下さい。

頭ごなしにいじめていることを注意するのではなく
子どもの

「こうしてほしい。ああしてほしい。」

をとことん聞いてあげるのが先です。

そうして親子の信頼関係を構築した上で
注意すべきことは注意する、
という姿勢でいてあげて下さい。

不登校といじめは大いに関係していますが、
いじめと家庭内の子育ても密接に関係があるのです。

さて、ここからは本日も読者の方からいただいた
“喜びの声”を紹介させて頂きます。

本日はOKさんからのメッセージです。
娘さんが不登校になった時、
OKさんは大変素晴らしい行動をされます。

行動すれば、必ずそれは伝わるんだ、ということを
改めて教えてくれるメッセージです。

ぜひあなたの子育ての参考にして頂ければと思います。

**************************ここから******************************

伊藤先生 こんにちは。

いつも先生のアドバイスを聞き、子育てに役立てています。
今回のご相談内容が私の娘の時と似ていたので、
少しでも希望を持って頂ければと思いメールをしました。

私には高2の娘がおりますが、中1の半ばから1年以上不登校でした。
きっかけは小学生の頃から仲良しだった友人と上手くいかなくなった事と、
学校で文房具が無くなった事でした。

娘は小さい頃から父親とあまり会話がありませんでした。

身勝手で厳しい人だったので(今は大病をしたので丸くなりました)
子供には近寄り難かったと思います。
そんな父親が、学校へ行くよう怒鳴った日から、
娘は自分の部屋から出て来なくなりました。

昼間からカーテンを閉めて暗い部屋にいる娘がとても可哀想で、
私は自分を責めました。

でも親しか助けてあげる事は出来ないので、
何とかもう一度娘に笑顔になって欲しいと思い、
私自身は、娘優先の生活に変えました。

日中は食事を作って声を掛け外出し
1時間程で戻り、夜は娘の部屋の前で寝て、
出て来ても声は掛けず気配だけ感じていました。

暫くはそんな毎日でしたが、
ある日娘が部屋から顔を出して、

「床に寝てたら痛いし、風邪ひくよ。お母さんが倒れたら
家族みんなが困るからちゃんと布団で寝て。」

と言いました。

最初は伊藤先生の「過保護」という考え方に
半信半疑だったのですが、
今のままで良いんだ、この方法でいいんだとその時に思いました。

娘の要求を受け入れてあげると、
少しづつ娘が良い方向に動き出しました。

私が何かアドバイスをした訳ではないのに、
規則正しい生活を始め、
自分でフリースクールを探し通い出しました。

すると自信がついたのか、
高校は自分で選んで行きたいから中学校へ戻る。

と言い、中3では皆勤で登校し勉強も頑張って、
今は高校生活を楽しんでいます。

元々積極的な方ではなかったのでとても驚きました。
今は運動部なので、体力や上下関係での苦労からなのか、
帰宅後機嫌の悪い日もあります。

でも伊藤先生の子育てを心掛け、
家では過ごしやすいように接していると、
朝は元気に登校して行きます。

娘が日々成長しているのを感じられます。

本当に不思議です。
今年の始めだったと思いますが、
引きこもりのテーマのニュースを見ていた時、
娘はこう言っていました。

「不登校の時はこれじゃいけないとわかっていたけど、
何もやる気になれなかったんだ…」

本人が一番苦しんでいたんだなあと改めて思い、涙が出ました。

私はこれからも子供の気持ちに寄り添う、
過保護の子育てをしていきます。
伊藤先生、これからも色々な
アドバイスをよろしくお願いします。

**********************ここまで************************

OKさん、素敵なメッセージをありがとうございます!

OKさんが娘さんのことを心の底から考え、
そして実行に移されたその愛情が
僕の目には何よりも美しく映ります。

娘さんの部屋の前で眠られたこと、
本当に素晴らしい行動だと思います。

OKさんの気持ちが娘さんに
伝わらないわけがありませんよね。

娘さんが不登校だった状況から
皆勤で登校されるようになったということ、
本当におめでとうございます。

このメッセージを読み、
気づきを得られるお母さん方も
たくさんいらっしゃるはずです。

貴重な情報をシェア頂きまして心から感謝しております。

もしまた子育てに関して何か気づかれたことや
親子関係の変化などがありましたら
お寄せ頂ければ嬉しいです。

これからも有意義な情報の提供に努めてまいりますので
今後ともよろしくお願い致します。

***********************
「過保護」という言葉を聞かれて
あまりピンときていなかった方にとっては
「過保護」であるということが
どういうことかリアルに感じていただけたのではないでしょうか。

OKさんの場合、きっと義務的ではなく
娘さんへの愛情から
自然と色々な行動をされたように感じられます。

「過保護にすることが大切です」

ということをお伝えして、
実際に「過保護」を実践して頂くことも
もちろん大切ですが、そこに
お子さんへの愛情が存在しなければ
何の意味もありません。

OKさんからのメッセージからは
娘さんへの愛情が湧き出ている
そんな印象を受けました。

このメルマガでは 随時、

「こんな風に接したら子どもが学校に行くようになった」

「こんなことをしたら子どもの笑顔をみることができた」

といったあなたの体験談を募集しております。

些細なことでも構いません。
あなたの体験をこのメルマガで
是非紹介させて頂ければ幸いです。

もしかしたらその体験が誰かのお子さんを
救うことになるかもしれません。

素敵な子育ての輪を日本全国に広めていきたいと
本気で思っています。
そして、今それが少しずつ動き出している状況です。
ぜひぜひご協力いただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。

さて、次回は、
僕が出会った和也という男の子に関するお話を
させていただきます。

和也は不登校の男の子でした。
ただ、和也がなぜ不登校になったのか
母親も学校の先生も「よくわからない」
と言っていました。

実はその原因の一つは和也の性格にありました。

和也は人に対して非常に・・・

続きは次回お話させていただきますね。

和也の性格は、
問題行動を起こす多くの子どもたちに共通する性格なので
もしかしたらあなたのお子さんにも
共通する性格かもしれません。

よろしければ、次週までにそれを
考えていただければ幸いです。

それでは本日も最後までご覧下さいまして
ありがとうございます。

引き続き、子育てに悩む親御さんにとって
有意義な情報提供に努めてまいりますので
次回もご期待ください。



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hyh
hyh
2019年5月6日 1:28 PM

#27のメルマガを読みました。過保護に接しても、愛情がなければ伝わらない。という伊藤先生の言葉に、はっとさせられました。過保護にしているつもりでも、愛情が伴わなければ、子どもに伝わるわけないですよね。最近、不登校の息子が色々と要求をしてきますが、どれも幼稚園児がするような要求ばかりだなと気が付くことが多くなってきました。本当に簡単な要求ばかりですが、甘えてくれているのかな?と感じています。今も、私がソファーに座っていると、膝の上に頭をのせて、くつろいでいます。小6の男の子がです。頭をなでても嫌がらないので、しばらくこのままでいようかと…少しずつ甘えることが出来ようになったのかな?と嬉しく思います。愛情が伝わるって、こんな感じなんでしょうか?


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