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【伊藤幸弘の子育てアドバイス】#146 「学校に行くのも行かないのもやだ」
こんにちは、伊藤です。
本日も子育ての悩みから、
ひきこもりや非行など、子どもの問題行動に
悩む親御さんに役立つ情報をお伝えします。
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前回のおさらい
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前回も元鑑別所所長の奥村晋氏と
私の対談の内容をご紹介しました。
奥村氏は、
「鑑別所に入ってきた子どもに
『どんな悪いことをしてきたんだ』
と言う職員はいません。
ルール・ルールで縛り付けても
子どもは反発するだけですから」
とおっしゃっていました。
問題行動が見られる少年少女には
倫理観・道徳観・法律・ルールを
説いても反発するだけです。
彼らの心に訴えるにはまず、
彼らを認めることから始めるべきなのです。
本日も奥村晋氏と私の
対談の続きをご紹介します。
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最初は力関係を見せる、でもそれだけではうまくいかない
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■伊藤:
どんな子どもでも
最初は当然、
初対面ですね。
皆さんによく、
「初対面の非行少年に会うのは怖くないか?」
などと聞かれますが
私は怖くはありません。
もし子どもが暴力で向かってきたら
こちらもぶっ飛ばすだけですから(笑)
最初はきれい事ではなくて
力関係なんです。
人間対人間なんですから、
相手の目つきが悪ければ私も悪くする。
そして「俺の話を聞けよ」
という意志を持って威圧する。
力関係ではどちらが上なのかをまず示します。
最初から「よしよし」などとはやりません。
●インタビュアー:
少年たちを更生させようとしたある議員が
ベンツで学校に乗り込んで、
「てめえら、俺の言うことを聞け」
と怒鳴っても残念ながら効果はなかった
という話もあります。
伊藤さんは、校内暴力をやめさせる為に
学校に行かれた事があるんですよね?
■伊藤:
はい、あります。
●インタビュアー:
子ども達は伊藤さんの言うことを
聞きましたか?
■伊藤:
はい。最初に睨みをきかせましたので。
●インタビュアー:
非行少年たちが
前述の議員の言うことは聞かず、
伊藤さんの話を聞くのはなぜでしょう?
■伊藤:
それは、やはり
人間的な愛情の有無によるのではないでしょうか?
私は先ほど初対面の子どもたちに対して、
力関係を示し威圧的な態度を取ると話しました。
しかし、
威圧的な態度や力関係だけでは
子どもを立ち直らせることはできません。
子どもにも敬意を払って対話すれば、
絶対に分かり合えます。
それなのに頭ごなしに叱りつけて
こちらの望む返事が返って来ないと
途中で
「こいつらはダメだ」
と相手の本当の心を理解せず
諦めてしまうから
立ち直らせることができないのです。
私が、校内暴力をやめさせる為に学校に行った時は、
非行少年のグループ全員に
「お前たちが今やっていることは
この先、5年、10年、20年経った時に
一体何になるんだ。
今している悪さは将来、傷になるだけで
絶対得にはならないんじゃないか?」
と問いかけたのです。
なぜなら、
人間は悪いことをしているとき、
心の中では半分以上、
「これで良いのか?」
と思っているものだからです。
私は、その気持ちをグーっと
引き上げてやりたかったんです。
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編集後記
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本日の内容から、
子どもと向き合い方のコツを
お分かりいただけたのではないでしょうか?
残念ながら多くの大人は
子どもを力づくでねじ伏せ、
大人の意見を押し付けて、
問題を解決しようとします。
腕力のない大人は、
「罰」を与えることで
子どもをねじ伏せようとします。
「成績が下がったら
ゲームは取り上げるから」
「スマホを解約するから」
など、色々な方法で
自分の思い通りに動かそうとします。
しかし、力づくでねじ伏せたり
意見を押し付けるだけでは
子どもの問題行動は根本的に解決できません。
対談では、
相手が暴力で向かってきたら
こちらもぶっ飛ばす
と話しましたが、当然ですが
本当にぶっ飛ばしたりはしません。
睨みを利かせて
俺は本気だぞ
お前達なんか怖くないぞ
と”覚悟”と”自信”を見せます。
これが、「力」です。
・力が強いから殴って思い通りに動かそうとする
・権力があるから罰を与えて思い通りに動かそうとする
という力ではなく、
子どもがどんな事を言おうとも
子どもがどんな態度を取ろうと
すべて受け止めてやる
すべて認めてやる
そして、きちんと子どもと向き合い、
社会規範やきれい事だけを語るのではなく、
子どもが納得するまで何時間でも何日でも話す
子どもを間違った方向には絶対進ませない
という覚悟と自信です。
私はこれまで
色々な非行少年たちに会ってきましたが、
睨みを利かせ、少年達の目の前に座り
相手の目を見て堂々と話す私に対して
殴りかかってきた子は一人もいません。
少年達は、私の態度に
自然と力関係を意識し、
話に耳を傾けたのだと思います。
「力関係を示す」
とはこういう事です。
そして、この力関係の中には
当然愛情が含まれています。
そこに愛情があるかどうか、
子どもたちは敏感に感じ取っています。
愛情があるから、
少年達は私の言葉に耳を傾けるのです。
子ども達にとっては聞きたくない
注意や禁止の言葉も、
子ども達のことを思ってかけた言葉であれば、
自然と子どもの心には入っていきます。
おどおど・びくびく
子どもに気を使っているような言葉は
子どもの心には届きません。
「覚悟」と「自信」と「愛情」を
もって、お子さんに言葉を
かけてあげてください。
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読者の方から頂いた喜びの声
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続いて、
DVD、メルマガ、子育てラジオ定期便などを
ご覧になり、状況を改善された読者の方の
喜びの声をご紹介します。
今日は、ご自身がガンの治療を終え、
今まさに精一杯子育てをされている
KMさんからのメッセージです。
*******************ここから********************
伊藤先生、こんにちは。
いつもメルマガをみて、
たくさんの気づきをいただけてます。
ありがとうございます。
高一の息子、5年生の娘がおります。
メルマガで紹介された和也くんのお話が
とても娘に似ているので、
メールさせていただきました。
娘は5年生です。
去年の9月から不登校になりました。
周りのことばかり気にしてしまう優しい性格です。
学校はずっと行かないということでもなく、
行事や遠足、クラブなど
自分の行きたいところは行く感じです。
4年生になったとき、
仲の良いお友達とクラスが離れてしまったことから、
行きたくないと言い始めました。
勉強も嫌だと言います。
去年の夏に私の乳がんが発覚し、
息子の受験もあり、
家の雰囲気は最悪だっと思います。
そして、息子も11月から卒業まで
不登校になってしまいました。
卒業式も出られませんでした。
その頃に伊藤先生のDVDを見たり、
メルマガも読み始めました。
私も病気の前まではかなり過干渉でした。
子どもが失敗しないように
困らないように
といろんなこと言ったりしてました。
息子は引きこもり寸前でしたが、
伊藤先生の言われた通りに過保護に接することで
私とは普通に話せて、なんとか受験ができました。
お陰さまで、今は高校に毎日元気に通っています。
とても嬉しかったです。
二月にガンの手術も終わり、
治療もひと段落しました。
息子も落ち着き、
今なら娘にめいっぱい向き合えると、
わがままや要求もできる限り聞いてあげていると、
娘から
「おかあさんの笑顔が見れるのが嬉しい」
と言って貰いました。
娘は5年生になり、
仲の良い友達とも同じクラスになれました。
友達とは土日に遊んだりしていますが、
登校はまだまだ気持ちが無理なようです。
「学校に行くのも行かないのもやだ」と言います。
時折不安が一気に来るときがあり、
そういうときは、「死にたい」と言います。
主人は子どもと出かけてくれたり、
一緒にお風呂に入ってくれたりしますが、
真面目な性格で干渉してしまうときがあります。
娘も真面目な性格できちっとやりたいところがあり、
「学校に行けなくて、
もう何もわからなくなっちゃったから無理と」
と言います。
色々声をかけたり、遊んだり、
一緒にでかけたりしていますが、
なかなか気持ちの整理ができなくて、
このまま行けない状態が続けば
更に不安になってしまうのかと、
悩む毎日です。
過保護は続けていきます!
ラジオも始めました!
少しずつでも進展できたら良いなと思っています。
和也くんのように、
色んな方の愛を娘にも受けさせてあげたい。
そして、娘の優しくて真面目なところが
活かされる日をただただ望むばかりです。
長くなりました。
今後もお世話になります。
ありがとうございました。
*******************ここまで********************
KMさん、貴重なメッセージをありがとうございました。
まずは、KMさんご自身の
ご病気の治療が無事に終わったこと、
おめでとうございます。
お母さんがお元気になられて何よりです。
いま娘さんにとっては、お母さんが頼りですから、
これからも明るく元気なお母さんでいてください。
>「学校に行けなくて、
>もう何もわからなくなっちゃったから無理と」
これは娘さんの素直な気持ちでしょう。
実は、この素直な気持ちをお母さんに言えることは
素晴らしいことなのです。
きちんと親子の信頼関係がある証拠です。
不安なお気持ちはとてもよくわかりますが、
親子の信頼関係があれば、
きっと回復する日が来ます。
慌てずにこのまま「過保護」な
子育てを続けてください。
引き続き応援させていただきます。
改めまして貴重なご報告を
ありがとうございました。
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KMさんは、娘さんについて、
>周りのことばかり気にしてしまう優しい性格です。
>娘も真面目な性格できちっとやりたいところがあり
と書かれています。
%%NAMESei%%さんのお子さんはいかがですか?
似たようなところはありませんか?
実は、不登校やひきこもりになるお子さんは
“真面目で”
“周りの事を気にかける”
“優しい子”
が多いのです。
「不登校で学校をさぼっているんだから
真面目なはずはないでしょう?」
と思うかもしれませんが、
実は、逆なんです。
真面目で、
何でもきちん、きちんとしないと
気持ち悪い性格なので、
それができなくなったときに、
不登校になってしまうんです。
ですから、KMさんの娘さんの
>「学校に行けなくて、
>もう何もわからなくなっちゃったから無理と」
という言葉は、本当に素直な気持ちを
よく表しています。
真面目だから「学校に行きたい」のです。
しかし、何か不安が心に引っかかっていて、
「学校に行けない」のです。
そして、
その「できない自分」が真面目な性格に
さらに追い討ちをかけてしまっているのです。
だから、「何もわからなくなっちゃった」
ということになるのです。
不登校のお子さんに
「どうして学校に行かないの?」
と聞くと
「わからない」
と答えるお子さんが多いのは、このためです。
「自分でも何がなんだかわからなくなってしまっている」
ということは多いようです。
そういう場合は、一つずつ
本人が心配している不安を取り除いて
安心させてあげてください。
KMさんの娘さんの場合は、
お母さんのご病気も大きかったと思います。
お子さん自身の心配ごと以外にも、
家族の心配ごとや家庭不和なども、
お子さんの不安要素になります。
からまった紐をほどくように
それらを一つずつ解消してあげてください。
その為にも、いろんな話をしてあげてください。
いろいろとコミュニケーションを取ってください。
今日はここまでです。
本日も最後までご覧いただきまして
ありがとうございました。
PS:
メルマガでお伝えしていることを実践されて
何か変化はありましたか?
「子どもの態度が変わった」
「ついに学校に通えるようになった!」
など、嬉しい変化がありましたら
ぜひご連絡ください。
ぜひこちらのメルマガで
他の親御さん方と共有させていただきたいと思います。
あなたの体験談が多くの方の励みとなり光となります。
どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。
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