【伊藤幸弘の子育てアドバイス】#59 なぜ子どもは万引きをするのか?

2016-03-03

おはようございます。
伊藤幸弘です。

本日も子育ての悩みから、
ひきこもりや非行など、子どもの問題行動に
悩む親御さんに役立つ情報をお伝えします。

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前回のおさらい
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前回は、
薫という男の子にまつわるエピソードを
お伝えしました。

薫は少年サッカーチームに入っていましたが、
ある時からそのチームに薫の父親が
コーチとして参加することになりました。

しかし、父親はあまりにも厳しく薫に接します。

ある日、試合中にパスをミスした薫に対して
父親が手加減無しで腹にボールを蹴り込む、
という事件が発生しました。

薫は心から恐怖を覚えました。

そしてその事件を境に
薫と父親の関係に亀裂が生まれ始めます。

前回、このエピソードから
僕がお伝えしたかったことは
愛情の重要性です。

父親が子どもにしつけを行うことは必要です。

父親がしつけをする前に
母親の愛情(過保護)が必要ですし、
父親がしつけをするその瞬間にも
必ず愛情が必要なのです。

ぜひこのことを意識して
あなたの子育てを
見直してみて頂ければ幸いです。

それでは
本日はそのエピソードの続きをお伝えします。

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本日のテーマ
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試合が終わった後、
父親はすごい形相で
薫にボールを蹴り込んできました。
そのボールは薫の腹を直撃しました。

蹴り出されたサッカーボールは
薫に大きなショックと痛み、
そして恐怖を与えました。

父親は力を加減していなかったからです。

薫は父が怖くなり
その場を走り出して家に
逃げ帰ってきました。

父親が後を追いかけてきているのがわかって
玄関に入るなりドアの鍵をかけ、
家に入ってこられないようにしました。

父親はドアをドンドンと叩き
大声でこう叫びます。

「ドアを開けなさい!」

薫はその音を
台所の隅の方に小さくなって
隠れたまま聞いていました。

やがてドアが開く音がしました。

何事かと思った母親が
ドアを開けてしまったのです。

父に見つかり、薫は

「イヤだ、イヤだ!」

と叫びながら
引きずられるようにして
力づくで練習場まで
連れ戻されてしまいました。

父親は、実際には薫にだけ
特別厳しかった訳ではありませんでした。

どの子にも、同じくらい
厳しく接していたのですが、
薫にしてみれば父は特に
自分に厳しいのだと感じられました。

「そんな父に怒られることが
耐えられないほどの苦痛だった」

と本人は言います。

この件が引き金となり
薫はちょくちょく万引きを
するようになりました。

そしてたった1度だけ
店の人に捕まったことがありました。

ただ、見た目は普通の小学生ですから
出来心でやったこととして
お店の人は親にも先生にも報告せず
厳しく注意しただけで
見逃してくれました。

薫の万引き行為に最初に気付いたのは
母親でした。

買ってあげた覚えのないものが
いくつも薫の部屋から見つかり、
おかしいと思った母親が薫を
問いただしたのです。

薫は、

「全て友達からもらったものだ」

と言い張り、
万引きを認めませんでした。

母親もおそらくは万引きに
気付いていたのでしょうが、
それ以上は追求せず
何も言いませんでした。

ちょうどこの頃から
父親の仕事が急に忙しくなり
子どもと顔を合わせる回数が
極端に少なくなっていきました。

家庭から会話が無くなっていったのも
この時期のことです。

そして薫の問題行動は
万引きだけでは終わりませんでした。

むしろ成長するにつれ
その度合いは高まっていきました。

中学2年生の時には
学校の体育館裏のゴミ置き場に
火をつけ、ボヤ騒ぎを起こしました。

母親にひどく怒られたらしいのですが、
その話をしている薫の口ぶりからは
母親の叱責が
ほとんどこたえていなかった
ことが見て取れました。

問題行動の中には

「奇行」

も含まれていました。

真冬だというのに
海辺近くの国道で
ランニングと短パン姿で
寝そべるなど、
おかしな行動をとることが
増えていったのです。

奇行が度重なり
弟は

「おかしい兄貴の弟」

と呼ばれ、
いじめを受けるようになりました。

警察に補導されることも
度々だった薫は
世間からもすっかり
問題児扱いされるように
なっていったのです。

・・・つづく。

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編集後記
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あなたは自分のお子さんが
万引きをしていることを知ったら
どうしますか?

止めるように徹底的に注意しますか?

おそらく多くのお母さんが
引っぱたいてでも
止めるように説得することでしょう。

しかし、たいていの場合、
そんなことをしても
何も解決しません。

なぜ子どもが万引きをするのか?

その根本的な原因を追求しない限り
何も解決しません。

その根本的な原因とはいったいなんでしょう。

一言で言うとストレスです。

家庭にも学校にも居場所がない、
そんな子どもがストレス発散のために
万引きをするのです。

時には「見つかるかもしれない」
というスリルを味わいながら・・・

その証拠に、
子どもは必ずしも欲しくて仕方ないものを
万引きするわけではありません。

欲しくないものまで万引きすることもあります。

そして万引きした商品を
友達と自慢し合う子どもさえいます。

ですから

「言ってくれたらそんなもの買ってあげたのに」

という言葉は無意味です。

もしあなたのお子さんが万引きを
してしまった場合、

「万引きはいけないことだ」

と教えることは
もちろん大切なことです。

ただ、その前にあなた自身が
子どもに対して要望を押し付け過ぎていたり
愛情の無い子育てをしていないか、
そのことをもう一度考えてください。

そして、
万引きのことを注意するのは
あなたの言うことを子どもが
聞く態勢になってからです。

つまり
“過保護な子育て”が出来てからだ、
ということを忘れないでください。

子育てには順序があります。

子どもを変えたいと思うのであれば
まずあなた自身が
変わらなければいけないのです。

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読者の方から頂いた子育て体験談
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それでは本日も
読者の方から頂いた子育ての
体験談を紹介させていただきます。

本日は、僕が主催する座談会にも
参加いただいたKKさんからのメッセージです。

ぜひご覧いただき、
あなたの子育ての参考にして下さい。

*******************ここから********************

こんにちは。
中3と高2の子どもを持つKKと申します。

今日は伊藤先生に御礼をしたくてメールしました。

昨年2月に座談会に出席させていただき、
当時中2の息子の不登校について

「まずは仲良くなることから」

とアドバイスいただきました。

座談会の他の出席者の話や、
それに対する伊藤先生のアドバイスも
勉強になり、それからは、登校刺激をせず、
息子の興味のあるものを理解しようとして、
ゲーム、サッカー、テレビ、漫画等、
いろいろなものを共有しようと努めました。

その甲斐あって、
いろいろなことを話し合えるようになり、
笑顔も増えて、ちょっとずつこちらの話にも
聞く耳を持つようになっていきました。

昨年11月には、海老名の無料相談で、

「今のことを丁寧に続けていけばいい」

とさらにアドバイスをいただき、
それを信じてやっていました。

そして昨日、同居してしている義母が、
ふいに誘ったら、次男が登校できたというのです。

仕事中に連絡をもらって、
母の私が驚きました。

今日も、義母の誘いにのり、
数時間ですが別室登校できました。

まだ、通常登校とは行きませんが、
こんな日が突然来るなんて
思ってもみなかったので
嬉しく思っています。

そして、受験にも少し前向きに
なってきているようです。

今後も、ゆったりした気持ちで
見守っていきたいと思っています。

同じく不登校の兄の方には、
11月の無料相談のときに

「愛情を注入していくこと。
手紙を渡すなどする」

とアドバイスを受け、
それ以来、その日に嬉しかったことや
ちょっとした変化を見つけて、
短い手紙にして渡すようにしています。

こちらはまだ大きな変化はありませんが、
小さな変化を喜べるようになり、
その喜びを素直に伝えるようにしています。

二人が社会に出て行くまでには、
まだまだ時間がかかるかもしれませんが、

今できることを、
あせらずにやっていきたいと思っています。

伊藤先生、本当にありがとうございました。

ひとまず、御礼と経過報告まで。

*******************ここまで********************

KKさん座談会などへのご参加ありがとうございました!

そして丁寧なご報告のメッセージをいただきまして
本当にありがとうございます。

KKさんの努力が
実ってきているようで
とても嬉しく思います。

>いろいろなものを共有しようと努めました。

とても素晴らしいことですね。
お子さんが興味を持っている
ゲーム、サッカー、テレビ、漫画等、
に対して関心を持ち、
共通の話題を作られたのは
素晴らしい行動です。

大人が話したいこと、聞きたいことが、
必ずしも子どもが話したいことと
一致するわけではありません。

むしろ一致しない方が多いと考えるべきです。

ですから会話が無い時に、
子どもが関心を持っていることに
こちらが興味を持って
会話を成立させるということは
とても理にかなっています。

最初は言葉少な目だったかもしれませんが、
そのときはお子さんの目も
いつもよりキラキラと
輝いていたのではないでしょうか?

とにかく弟さんが学校に通われたことは
本当に喜ばしいことです。

おめでとうございます。

お兄さんはまだ
登校には至っていないということですが、
お兄さんも必ず通常登校ができる日が訪れます。

お子さんのタイプによって
解決までの時間は異なるため、
まだ少し辛抱が必要かもしれませんが
ぜひ根気よく続けてくださいね。

今後も応援させていただきます。

また何か動きがありました際には
ぜひご一報ください。

改めまして、
ご報告とお礼をいただきまして
本当にありがとうございました。

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KKさんのメッセージから
あなたにぜひ感じていただきたいことは
子どもによって性格も感受性も
何もかも違うということです。

もちろん血が繋がっている兄弟でも違います。

KKさんは
おそらくお兄さんにも弟さんにも
同じように接していたはずです。

それでも
弟さんの方が先に学校に通い始めました。

その理由は
おそらくお兄さんの方が
より多くの愛情を必要としているからです。

例えば弟さんが10の愛情を
必要とするお子さんであるのに対して
お兄さんは100の愛情を
必要とするお子さんなのかもしれません。

ですから、もしあなたが

「過保護に接しているつもりなのに
うちの子どもは全然反応無い」

ということでお悩みであっても
あまり気になさらないでください。

正しく過保護に接していても
その結果が現れるまでに
時間がかかることがあります。

多少なりとも変化があるのであれば
今の子育てが正しいということを信じて
根気強く続けてくださいね。

さて、次回も
薫のエピソードの続きをお伝えします。

が、ついに
取り返しのつかない事件が
発生してしまいます・・・

残酷な結末ですが、
間違った子育てがこういう現実を
引き起こす可能性があることを
ご理解いただきたいので
しっかりお伝えしたいと思います。

ぜひ次週もご覧下さい。

それでは、
本日も最後までご覧下さいまして
ありがとうございました。

PS:

最近、お礼のメッセージを頂くことが多く
本当に嬉しく思います。

もちろんメッセージを頂くこと自体も嬉しいのですが、

「お子さんが学校に通えるようになった」

というご報告を頂くことが
何よりも嬉しいです。

このメルマガをご覧の他の親御さんとっても
希望や励みになると思います。
本当に感謝しております。

もし本日メッセージを紹介させていただいた
KKさんのように
あなたとお子さんとの関係にも
何か嬉しい変化がありましたら
ぜひシェアいただければ幸いです。

あなたの1通のメッセージによって
勇気づけられたり、
新しい視点を得られる親御さんも
たくさんいらっしゃると思いますので
どうぞご協力のほど
よろしくお願いいたします。

ご連絡をお待ちしております。



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